暖房設備を通して建築家の存在を考える
さて、冬の暖房はどうしていますか? また、どうしようと考えていますか?
これはいろいろな選択肢があるので、一概にはいえることではありません。その住宅(住戸)がどういうオリエンテーションで配置されているのか、一戸建てなのか集合住宅なのか、断熱にはどの程度のコストをかけられるのか、などなどからはじまって、内装はどうなっているのか、家族構成は、間取りは、家族は暑がりなのか寒がりなのか……。簡単に「この暖房設備を使いなさい」とはいえないところが難しい。
シロートが本を読んだだけで「これがいい!」と決められるほど簡単なものではないのですから。
イニシャルコストをかけてもいいからランニングコストを抑えたい、だからソーラーシステムを使いたい。OMソーラーなんていいんじゃないの? こらこら。そんなに簡単なことじゃないんですよ。ソーラーだとまず屋根の向きに制約がでますよね。屋根面に対して1日にどれくらい日射時間があるのかとかも。
温熱ソーラーの場合、どれくらいの集熱効果があるかご存知ですか? 太陽光発電の場合、どれくらいの発電能力があってロスはどれくらいあるかご存知ですか?
住もうとするところの周辺環境でもそれはガラッと変わっちゃうんですよ。空気のきれいなところと、幹線道路のすぐ脇では、集熱パネル・太陽光電池パネルの汚れが格段に違いますから、能力にものすごく差が出ます。
深夜電力利用の暖房がいい? たしかにランニングコストは抑えられますね。今のところは。将来にわたって深夜電力が安価な保証はないんですよ。たとえば水素電池なりなんなりの電池を使った家庭用発電機が普及する可能性だってあるんですよ。
輻射暖房と温風暖房の違いもあります。
床暖房は足下だけ暖まりますから、快適です。ただ、冬期深夜はフリースが必要かも。温風だったら冬でもTシャツで過ごすことは可能かもしれませんが、頭がポーッとしてきます。床暖房と同じように輻射暖房のピーエスなんて選択もありますね。
暖房設備にできるだけ頼らないための方策にもどれだけコストと手間をかけられるかで違ってきますよね。断熱だけじゃなくて、ダイレクトゲインとか。
そういったところをケースに応じて相談にのってくれるのが建築家だと信じています。
プロに相談したほうがいいですよ、という気はありません。でも、いっしょに悩んでくれる人と家をつくってみたほうが気分がいいですよ、というのは自分も経験した事実。
こっちも見てね→一酔千日戯言覚書2
投稿者 oyabin304 : 00:09
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